プラズマ

プラズマとは何か

プラズマは、物質の状態の一つであり、固体・液体・気体に次ぐ「第4の状態」とされています。気体に十分なエネルギー(熱や電磁的エネルギーなど)を与えると、原子や分子の中の電子が外部に飛び出し、イオン化が起こります。このように、電子とイオンが共存する状態が「プラズマ」です。

プラズマの例としては、自然界では太陽風と空気の衝突で発生するオーロラがあります。 他にも雷や太陽、人工的ところでは蛍光灯などがあります。

固体
液体
気体
プラズマ

プラズマの作り方

プラズマを生成するには、気体にエネルギーを供給して分子や原子のイオン化を促す必要があります。 そのためのエネルギーには、電界などで電子を加速させ電離を促す電気的エネルギー、 高温により電離を促す熱エネルギーや紫外線やX線などの光で電離を促す光エネルギーなどがあります。キヤノンアネルバでは、上記エネルギーの中でも主に電気的エネルギーを用いてプラズマ生成、維持しています。


電気的エネルギーによるプラズマ生成例)

① 空間電界により電子が加速され、ガス分子と衝突することでイオン化が起こり、新たに電子が放出される。

② 新たに放出された電子も電界によって加速され別のガス分子と衝突することでイオン化、電子放出を繰り返す。

③ 電界による電子加速とガス分子との衝突が継続することで、プラズマ状態(イオンと電子が共存する状態)が維持される。


このように、生成されたプラズマは様々な場面で活用されています。

プラズマの応用

プラズマはその特異な性質から、科学技術の多くの分野で応用されています。

  • 半導体・電子デバイス製造
    微細加工技術(エッチング、成膜)において、プラズマは不可欠な役割を果たしています。特に、低温で高精度な加工が可能なため、次世代半導体製造において重要です。
  • 医療分野
    低温プラズマは、細菌やウイルスの不活化、創傷治癒の促進などに利用されており、非侵襲的な治療法として注目されています。

  • エネルギー分野
    核融合(フュージョンエネルギー)研究では、プラズマを高温・高密度状態で閉じ込める技術が開発されています。将来的には、クリーンで持続可能なエネルギー源として期待されています。
  • 宇宙科学・推進技術
    宇宙空間はプラズマに満ちており、その理解は宇宙物理学の基礎です。また、プラズマ推進装置(イオンエンジン)は、長距離宇宙探査において有望な技術です。