真空
真空とはなにか
真空とは、大気圧より低い圧力(分子密度)の気体で満たされた空間の状態と定義されています。たとえば、私たちが普段生活している場所には空気がたくさんあります。空気は目に見えませんが、呼吸したり、風を感じたりすることで存在を感じられます。でも、宇宙のような場所には空気がほとんどありません。そういう空間を「真空」と呼びます。
完全に何もない空間を「絶対真空」と呼びますが、現実にはそれを完全に実現するのは非常に難しく、通常は「ほとんど気体がない状態」を真空と呼びます。空気やその他の粒子がほとんど存在しない空間のことです。真空の状態は、圧力によって5つの領域に分類されます。キヤノンアネルバでは10⁻⁷ Pa(パスカル)以下という超高真空領域がよく使われます。
真空の作り方
真空を作るには、空気を物理的に取り除く必要があります。そのために使われるのが「真空ポンプ」です。 低真空領域では、機械的にガスを圧縮して排気するドライポンプが使われ,、高真空領域では高速回転する羽根で分子を叩き出すターボ分子ポンプ、さらに超高真空にはガス分子をイオン化し、金属表面に吸着・固定するイオンポンプなどが使われます。 これらのポンプによって、ガス分子を排出することで容器内の圧力を下げていきます。 真空を安定して維持するには、空気の漏れ(リーク)を防ぎ、容器などからのガス放出(アウトガス)も抑える必要があります。真空技術は、精密な環境制御が求められる繊細な分野です。
真空の応用
真空技術は、私たちの身近なところでも活躍しています。たとえば、食品の保存に使われる「真空パック」は、空気を抜くことで酸化や細菌の繁殖を防ぎ、鮮度を長持ちさせます。また、半導体の製造では、空気中の不純物が製品に悪影響を与えるため、真空環境が必要です。キヤノンアネルバが扱うスパッタリング装置では、原子や分子、イオンの動きを妨げないようにするために真空を使っています。真空は「見えないけれど欠かせない」技術として、私たちの生活や産業を支えています。